合意解約・辞職に係る判例一覧

退職の意思表示の瑕疵
ニシムラ事件(昭和61年 大阪地裁決定)

「使用者の懲戒権の行使や告訴が権利の濫用と評すべき場合に、懲戒解雇処分や告訴のありうべきことを告知し、そうなった場合の不利益を説いて退職届を提出させることは、強迫行為というべきであり、それによってなした労働者の退職の意思表示は取り消しうるとした。」

昭和女子大学事件(平成4年 東京地裁決定)
「労働者は反省の意を強調する意味で退職願を提出したもので退職の意思を有していなかったものであり、会社は労働者の退職の意思表示が労働者の真意に基づくものではないことを知っていたものと推認することができることから、退職の意思表示は心裡留保により無効であり、退職の効果は生じないとした。」

退職の意思表示の撤回
大隈鉄工所事件(昭和62年 最高裁第三小法廷判決)
「人事部長に労働者の退職願に対する承認の決定権があるならば、人事部長が退職願を受理したことをもって会社の即時承諾の意思表示がされたものと言うべく、これによって雇用契約の合意解約が成立したものといえ、会社の承諾前に申込が有効に撤回されたとした原審の判断を破棄した。」

岡山電気軌道事件(平成3年 岡山地裁判決)
「常務取締役担当部長には、単独で即時退職承認の可否を決する権限はなかったとして、当該部長が退職願を受領した後の撤回届の提出により、有効に撤回されたものと認めた。」

白頭学院事件(平成9年 大阪地裁判決)
「労働者による雇用契約の合意解約の申込は、使用者の承諾の意思表示が労働者に到達し、雇用契約終了の効果が発生するまでは、使用者に不測の損害を与えるなど信義に反すると認められるような特段の事情がない限り、労働者においてこれを撤回することができるとした。」

大通事件(平成10年 大阪地裁判決)
「労働者による退職又は辞職の表明は、使用者の態度にかかわらず確定的に雇用契約を終了させる旨の意思が客観的に明らかな場合に限り、辞職の意思表示と解すべきであって、そうでない場合には、合意解約の申込みと解すべきであるとした。」

辞職
日本高圧瓦斯工業事件(昭和59年 大阪高裁判決)

「就業規則の「退職を願い出て、会社が承認したとき、従業員の身分を喪失する」旨の規定は、民法627条2項所定の期間経過後もなお解約の申入れの効力発生を使用者の承認にかからしめる特約とするならば、労働者の解約の自由を制約することになるから、かかる趣旨の特約としては無効と解するとした原判決を維持した。」