個別の合意と就業規則の関係に係る判例一覧

労働協約と個別の合意・就業規則との関係
朝日火災海上保険(石堂・本訴)事件
(平成9年 最高裁第一小法廷判決)
「本件労働協約は、労働者の定年及び退職金算定方法を不利益に変更するものでありこれにより労働者が受ける不利益は決して小さなものではないが、同協約に定められた基準の全体としての合理性に照らせば、その規範的効力を否定すべき理由はないし、また、労働者の個別の同意又は組合に対する授権がない限り、その規範的効力を認めることができないものと解することもできないとした。」

日本トラック事件(昭和60年 名古屋高裁判決)
「労働条件の基準が、就業規則と労働協約との間で食違う場合は、個々の労働者の労働条件は有利な方の基準に従って決定されるべきである旨の労働者による主張に対し、会社と組合とが、労働条件に関し、就業規則と労働協約が競合する場合は、労働協約が就業規則に優先するとの取扱いをしてきたものであることから、労働者は労働協約の適用を免れることはできないとした。」

個別の合意と就業規則との関係
朝日火災海上保険事件(平成6年 最高裁第二小法廷判決)

「控訴審において、会社と労働組合との間でなされた退職金を減額する旨の口頭の合意の非組合員への適用について、会社と労働者との間に黙示の合意が成立するに至っていたかを何ら判断していないとして、原判決を破棄差戻した。」

有限会社野本商店事件(平成9年 東京地裁判決)
「従業員全員が、就業規則の定めのとおりの昇給の実施をしないこと及び賞与の支給をしないことにつき、何らの要求等をしなかったことから、黙示の承諾をしていたとして、就業規則の変更によらない賃金の減額を認めた。」

シーエーアイ事件(平成12年 東京地裁判決)
「本件においては、労働者と会社は期間を1年とする雇用契約により、旧賃金規定の支給基準等にかかわらず、支払賃金額は月額36万5千円、年俸額620万円の確定額として合意をしているのであり、このような合意が存在している以上、会社が賃金規則を変更したとして、合意された賃金月額を契約期間の途中で一方的に引き下げることは、改定内容の合理性の有無にかかわらず許されないとした。」

東京サレジオ学園事件(平成15年 東京高裁判決)
「就業規則において、業務の都合により勤務場所、職務、職位の変更を命じることがある旨定められていたが、労使間において、職種あるいは勤務場所を限定する合意が成立し、これが雇用契約の内容となっている場合には、労働者の同意のない限り、その範囲を超えて配転を行うことは許されないとした。」