懲戒事由・懲戒の種類に係る判例一覧

注意・戒告・けん責
エスエス製薬事件(昭和42年 東京地裁判決)

「就業規則に、譴責等の懲戒処分を行う前に使用者が労働者から始末書の提出を求めうる旨規定していることから、労働者が始末書の提出を拒否したことは「上長の指揮命令に従わず」との事由に該当し、懲戒処分の対象となるものとされた。」

福知山信用金庫事件(昭和53年 大阪高裁判決)
「「誓約に違背する行為をしたときはいかなる処分を受けても異議を申し立てない」旨の誓約書には包括的な異議申立権の放棄を意味する文言を含んでおり、また、労働者の内心の自由にかかわる問題を含んでいることから、この誓約書を提出しないことをもって企業秩序を紊乱するものとはいえず、懲戒事由とはなりえないものとされた。」

JR東日本(高崎西部分会)事件(平成8年 最高裁第一小法廷判決)
「就業規則等に規定がなくそれ自体としては直接的な法律効果を生じさせるものではない厳重注意も、労働者の職場における信用評価を低下させ、名誉感情を害するものとして労働者の法的利益を侵害する性質の行為であるとされた。」

立川バス事件(平成2年 東京高裁判決)
「始末書を取り将来を戒める譴責処分の無効確認の訴えについて、過去の事実関係又は法律関係の確認を求める訴えを起こす必要性は特になく、労働者が当該企業から退職している状況においては、訴えの利益を欠いているとして却下された。」

停職(出勤停止)
ネッスル事件(平成2年 東京高裁判決)

「使用者は(懲戒処分とは異なる)業務命令としての出勤停止(自宅待機)を命じることができるが、労働契約上要請される信義則に照らし、その権限は合理的な制約に服するものとされた。」

懲戒事由と処分の均衡
京阪神急行電鉄事件(昭和37年 大阪地裁判決)

「鉄道会社の改出札業務に従事する労働者が切符の不正販売により金銭を領得した行為は、経営の基礎を揺るがすものであって、懲戒解雇処分は過酷な又は不当な処分とは言いがたいとされた。」

ソニー生命保険事件(平成11年 東京地裁判決)
「使用者から貸与されたパソコンを質入れした労働者の行為は、「会社の金品等を費消又は流用したとき」との懲戒事由に該当し、使用者の行った懲戒解雇が有効とされた。」

日経ビーピー事件(平成14年 東京地裁判決)
「労働者が約2箇月間にわたり上司による承認を得ずに欠勤し、使用者からの職務復帰命令に違反した等の行為は、労働者の基本的な義務に反する重大な命令違反であり、重大な非違行為であるから、懲戒解雇は相当な処分であるとされた。」

懲戒解雇と普通解雇の関係
日本メタルゲゼルシャフト事件(平成5年 東京地裁決定)

「懲戒解雇と普通解雇は異なる制度であり、実際上懲戒解雇は普通解雇に比して特別の不利益を労働者に与えることから、懲戒解雇の意思表示を普通解雇の意思表示に転換することは認められないとされた。」