京阪神急行電鉄事件(懲戒事由と処分の均衡)

京阪神急行電鉄事件(大阪地裁昭和37年4月20日判決)
「鉄道会社の改出札業務に従事する労働者が切符の不正販売により金銭を領得した行為は、経営の基礎を揺るがすものであって、懲戒解雇処分は過酷な又は不当な処分とは言いがたいとされた。」


[事実の概要]
鉄道会社であるY社において出札改札業務等に従事していたXらは、使用済みの切符を販売する等の方法で金銭を不法に領得したとして、Y社から懲戒解雇処分を受けた。Xらは、不当に重く処分を受けたとして、Y社の従業員としての身分を保全する仮処分申請をおこなったものである。


[判決の要旨]
〈運賃を〉従業員が不正に領得する行為は経営の基礎をゆるがせるものであって、従業員は監督者同僚の眼を離れ孤立して勤務する事も多く又現金を取り扱う為高度の信頼関係が要求されるところ、前述のX等の不正行為の範囲態様手段他の従業員に与えた影響等を考えると、Y社においてX等を会社企業内部にとどめることはその存立上からも、経営秩序維持の為からも、はたまた他戒の目的からも許しがたいものとして、懲戒解雇処分に付したことを以て、あながち過酷な不当な処分とはいい難く、また本件に現れたすべての疎明資料によっても、X等主張の如く、X等のみを特に重く処分したという偏頗(へんは)な事情も窺えないのであるから、本件懲戒解雇を以て、労働協約、就業規則の適用を誤ったものとはいい難く、これを無効とするX等の主張は採用し難い。