日亜化学工業事件(職務発明)

日亜化学工業事件(東京地裁平成14年9月19日中間判決)
「本件職務発明の特許を受ける権利は使用者に承継されているとしたが、契約や勤務規則等においてその対価の額を定めたとしても、労働者はその額に拘束されることなく特許法の規定の趣旨に従った相当の対価を請求することができるとされた。」


[事実の概要]
Xは、電子工業製品の部品・素材の製造及び研究開発を行うY社に在職中の平成2年に、半導体の製造に係る職務発明をした。この職務発明について、Y社は、Xを発明者、Y社を特許権者として設定登録を受けた。その際Y社は、社内規定に基づいて、Xに対して2万円の褒賞金を支払った。その後Xは平成11年にY社を退社した。Xは、自らの職務発明の対価の額は20億円であり、Y社の支払った報奨金は特許法35条4項に定める「相当の対価」には該当せず、その差額を支払うべきであると主張した。


[中間判決の要旨]
<平成15年改正前の>特許法35条の趣旨に照らせば、同条3項、4項の規定する「相当の対価」の額については、最終的には、司法機関である裁判所により、同条4項に規定された概括的な基準の下で、個別の事案における具体的事情を総合考慮して定められるものと解するのが相当である。契約や勤務規則等の定めにおいて、職務発明についての特許を受ける権利を使用者等に承継させた対価として従業者等が受けるべき金額についての条項を設けたとしても、従業者等は、当該条項に基づいて算定された額に拘束されることなく、上記のような特許法の規定の趣旨に従った「相当の対価」を請求することができるものである。※なお、平成16年1月30日に東京地裁において本件の終局判決がなされている。