朝日新聞社小倉支店事件(就業規則の効力発生要件)

朝日新聞社小倉支店事件(最高裁昭和27年10月22日大法廷判決)
「会社側が労働基準法第106条第1項所定の爾後の周知方法を欠いていたとしても、既に従業員側にその意見を求めるため提示され、その意見書が附されて届け出られたものであるから、就業規則自体の効力を否定する理由とはならないとした。」


[事実の概要]
組合員Xは、Y新聞社の従業員であるが、ストライキの際、Yの非組合員による業務の遂行を暴行脅迫によって妨害する違法な争議行為を行った。Yは、これを理由に就業規則に基づきXを解雇したが、当該就業規則は、労働基準法第106条所定の周知方法を講じていなかった。


[判決の要旨]
仮にY会社側において所論の如く労基法106条1項所定の周知の方法を欠いていたとしても、前段に説明の如く当該就業規則は既に従業員側にその意見を求めるため提示され且つその意見書が附されて届出られたものであるから、Y会社側においてたとえ右労基法106条1項所定の爾後の周知方法を欠いていたとしても、これがため同法120条1号所定の罰則の適用問題を生ずるは格別、そのため就業規則自体の効力を否定するの理由とはならないものと解するを相当とする。けだし就業規則は使用者がその労働者の労働関係を規律する目的の下に制定するものであって、その内容が法令又は労働協約に違反するところがない限り、労働者側の承認を要せず使用者側の一方において作成決定し得るものであり、ただ労働者側の意見を聴き、且つその意見書を添付して所管行政官庁に届出することを要するものであるが、本件就業規則は以上要件を履践されたものであることは前段説明のとおりであるからである。されば該就業規則を適用して解雇したY会社の本件解雇を適法と判断した原判決は結局正当である。