社会福祉法人さくら事件(解雇事由)

社会福祉法人さくら事件(神戸地裁姫路支部平成14年10月28日判決)
「解雇前日の段階では労働者に反省を促すつもりであったのであれば、事情聴取や口頭注意等の善後策を講じるべきであり、これらの措置を何ら講じることなく翌日直ちに解雇を決断したという会社側の対応は理解し難く、解雇事由について合理性ないし相当な理由があるとは認められないとした。」


[事案の概要]
Yは、重度身体障害者更生施設であるリハビリセンターの設置経営を目的とする社会福祉法人であり、Xは、平成4年6月、Yに雇用され、センターの生活指導員として勤務してきた者であるが、Yは、Xに対し、平成12年4月24日付けで生活指導員等の職を解任する旨の辞令を手渡し、翌25日には、同日付けで、就業規則16条2号所定の解雇事由である「勤務成績又は技能が不良で職員としての適格を欠く場合」に該当するとして解雇を通告する書面を送付した。


[判決の要旨]
YがXの当初の解雇事由として挙げたものは、その1つ1つを取り上げれば、正当な解雇事由とはなり得ないが、これらの事実を併せ考えると、Xには、重度身体障害者福祉施設の生活指導員としてはもとよりのこと、職員としての的確性にも疑問を抱かせる行状が多く、Yが解雇したこともあながち不合理であるとはいえない面がある。しかしながら、Yが、前記のとおり平成12年4月24日の段階では、Xに反省を促して様子を見るつもりで生活指導員の職を解任したというのであれば、Xに対する事情聴取や口頭注意等の善後策を講じるべきである。理事長は、同月25日にXらがセンターを訪れたとき、反省の弁や謝罪の言葉もなく、反抗的な行動と態度が見られたことから、Xらについて、改善の見込みがないものとの判断を下したものと供述するが、上記のような措置を何ら講じることなく、翌日直ちに解雇を決断したというY側の対応には理解し難いところがあることからすれば、本件解雇理由について、合理性ないし相当な理由があるとは認められない。以上によれば、Xらについて、本件就業規則16条2号所定の解雇事由に該当する事実は認められないから、Xらに対する本件解雇は、その余の点について判断するまでもなく、無効というべきである。