アロマカラー事件(休職)

アロマカラー事件(東京地裁昭和54年3月27日決定)
「休職期間満了当時、労働者が、受傷前に従事していた業務に耐えられないと認められたことから、当時労働者は復職可能な状態にあったとは言えず、「休職期間を経過して復職をされないとき」に該当する場合は「退職とする」旨の就業規則に基づき、当然に退職になったとされた。」


[事実の概要]
Yは、カラー写真の現像処理等を行う会社であり、Xは、昭和48年4月にYに雇用され、カラープリントの焼付作業及び出荷検査等に従事していたが、Xは、昭和52年8月10日、私事で右大腿骨等を骨折し、昭和53年1月24日まで入院加療を続けた。Xは、本件私傷病により2ヶ月間欠勤したため、就業規則第20条により同年10月10日から6ヶ月間の休職を命ぜられ、休職期間は昭和53年2月9日に満了し、さらに、有給休暇8日間の満了日は同月20日となった。Yは、Xに対し、同年2月21日付の文書で、休職期間及び有給休暇の期間が満了したため退職となる旨通知したが、Xは、退院時に自らは就労できる状態であり、同年1月26日にYに対し就労の意思を表明したのであるから、休職事由は同日消滅しており、本件退職扱いは無効であると主張した。


[判決の要旨]
<就業規則第29条では、>「従業員がつぎの各号の一に該当するときは退職とする」と定められ、同条(4)で「休職期間を経過して復職をされないとき」と定められていることが認められるところ、右休職期間の満了直後に復職しない場合はもとより、復職できないとき、すなわち従業員には復職の希望はあるが、休職期間満了時に傷病が治癒せず、復職を容認すべきでない事由がある場合も含まれると解すべきところ、Xの退院後の症状は、前記で認定したとおり、Xの傷病は完治しておらず、座姿勢による作業は可能であるとしても、軽作業、長時間の立位作業の勤務には耐えられないものであり、休職期間及び有給休暇期間の満了した昭和53年2月20日当時も右状態にあったことが認められ、Xが受傷前に従事していた業務は、座姿勢による作業が主であるが、なお相当量の立位作業及び製品または材料の運搬作業があり、Xの右状態では従前の業務に耐えられないものと認められるから、右期間満了当時申請人は復職可能な状態にあったとはいえず、右規定に該当する。そこで、右の場合の効果として「退職する」と定められているところ、第29条は右(4)の事由のほかに、(1)会社の役員に就任したとき、(2)雇用期間が満了したとき、(3)自己の都合により退職したとき、(5)停年に達したとき、(6)死亡したときも定められていることが認められ、右各事由の場合は当然退職するものであり、右(4)の事由の場合も右と別異に解すべき理由がないから当然に退職の効果が生じ、従業員が復職の希望を有する場合であっても傷病が治癒せず復職を容認すべきでない事情が客観的に有する限り同様に解するのが相当である。