解雇権の濫用・解雇・整理解雇・退職強要・変更解約告知等、労働契約の終了に係わる判例一覧

日本食塩製造事件(昭和50年 最高裁第二小法廷判決)
「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になるとした。」


東洋酸素事件(昭和54年 東京高裁判決)
「整理解雇について、人員削減の必要性、人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性、解雇対象の選定の妥当性、解雇手続の妥当性が必要であるとした上で、これらの事情を認め解雇を有効とした。」


ナショナル・ウエストミンスター銀行(三次仮処分)事件(平成12年 東京地裁決定)
「いわゆる整理解雇の4要件は、解雇権濫用の判断の際の考慮要素を類型化したものであって、各々の要件が存在しなければ法律効果が発生しないという意味での法律要件ではなく、解雇権濫用の判断は、事案ごとの個別具体的な事情を総合考慮して行うほかないとした。」


三田尻女子高校事件(平成12年 山口地裁決定)
「整理解雇が有効となるためには、人員削減の必要性、解雇回避努力、解雇対象の選定基準の客観性・合理性、労働組合・労働者との誠意ある協議の各要件を、全ていずれも充足することが必要であるとした。」


下関商業高校事件(昭和55年 最高裁第一小法廷判決)
「被勧奨者の任意の意思形成を妨げ、あるいは名誉感情を害するごとき勧退職奨行為は、違法な権利侵害として不法行為を構成する場合があるとした。」


スカンジナビア航空事件(平成7年 東京地裁決定)
「労働条件の変更の必要性が労働者の受ける不利益を上回り、労働条件の変更を伴う新契約締結の申込みがそれに応じない場合の解雇を正当化するに足りるやむを得ないものと認められ、かつ、解雇回避努力が十分に尽くされているときは、会社は新契約締結の申込みに応じない労働者を解雇することができるとした。」


大阪労働衛生センター第一病院事件(平成11年 大阪高裁判決)
「我が国においては、労働条件の変更ないし解雇に変更解約告知という独立の類型を設けることは相当でなく、解雇の意思表示が使用者の経済的必要性による以上、整理解雇と同様の厳格な要件が必要であるとした。」


高知放送事件(昭和52年 最高裁第二小法廷判決)
「寝過ごしによる2度の放送事故を起こした労働者に対する解雇について、悪意や故意によるものではなく、平素の勤務成績も別段悪くないこと等から、本件解雇を解雇権の濫用として無効とした原審の判断を認容した。」


あさひ保育園事件(昭和58年 最高裁第一小法廷判決)
「希望退職者募集などの措置をとることなくなした解雇は、労使間の信義に反し権利の濫用として無効となるとした原審の判断を認容した。」


労働大学(本訴)事件(平成14年 東京地裁判決)
「解雇が客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認できないときは、解雇は権利の濫用として無効になると解すべきであり、これは、使用者において人員削減の必要性があったかどうか、解雇を回避するための努力を尽くしたかどうか、解雇対象者の選定が妥当であったかどうか、解雇手続が相当であったかどうか等の観点から具体的事情を検討し、これらを総合考慮して判断するのが相当とした。」


大阪フィルハーモニー交響楽団事件(平成元年 大阪地裁判決)
「会社と労働組合との間に、組合員の解雇に関して労使の協議等を規定する協定があるにもかかわらず、協議が整わないままなされた解雇について、解雇事由が解雇に相当する強度の背信性を持つ等の特段の事情も認められないことから、違法、無効であるとした。」


社会福祉法人さくら事件(平成14年 神戸地裁姫路支部判決)
「解雇前日の段階では労働者に反省を促すつもりであったのであれば、事情聴取や口頭注意等の善後策を講じるべきであり、これらの措置を何ら講じることなく翌日直ちに解雇を決断したという会社側の対応は理解し難く、解雇事由について合理性ないし相当な理由があるとは認められないとした。」


女子学院事件(昭和54年 東京地裁判決)
「本件解雇予告は権利の濫用として違法であり、会社はこのような理由で解雇予告をしてはならないのにこれをしたことにつき過失があり、本件解雇予告は不法行為を構成するとした。」


トーコロ事件(平成6年 東京地裁判決)
「本件解雇は無効であるが、解雇に至った経緯等からすると労働者の受けた精神的苦痛は雇用契約上の地位の確認等によって慰謝されるべき性質のものであり、本件解雇を不法行為あるいは債務不履行に当たるとして慰謝料の支払いを求めることはできないとした。」


プラス資材事件(昭和51年 東京地裁判決)
「解雇予告手当を支払わずに解雇の意思表示をした使用者は、解雇通知後30日を経過したこと等により雇用契約が終了した時点において、労働者に対し解雇予告手当を支払うべき公法上の義務を負うとした。」

セキレイ事件(平成4年 東京地裁判決)
「使用者が解雇予告手当を支払うことなく即時解雇の意思表示をし、労働者が雇用関係の即時終了を容認し解雇予告手当の支払を求めている場合には、労働者の意思表示によって雇用関係は即時に終了し、使用者は労働者に対して解雇予告手当を支払うべき義務が生じるとした。」


上野労基署長(出雲商会)事件(平成14年 東京地裁判決)
「解雇の効力は行政官庁による解雇予告除外認定の有無、内容に関わりないとした。」


エール・フランス事件(平成8年 東京高裁判決)
「労働者を退職に追い込むために職場の上司らが行った暴力行為や嫌がらせ行為や、実質上の有用性がかなり低い統計作業を行わせたことが、不法行為を構成するとして、会社と職場の上司らの双方に損害賠償責任を課した。」


日本ヒルトン事件(平成14年 東京高裁判決)
「労働条件の変更に合理的理由の認められる限り、変更後の条件による会社の雇用契約更新の申込は有効であり、労働者らの異議留保付承諾の回答は、申込みを拒絶したものといわざるを得ず、雇止めには社会通念上相当と認められる合理的な理由が認められるとした。」


日本オリーブ事件(平成15年 名古屋地裁決定)
「労働者が労働条件の変更に異議を留めて通常業務に従事している場合、労働条件の統一的画一的処理の必要性の面で具体的問題が生じているとはいえず、「やむをえない業務上の都合」という解雇事由には該当しないとした。」