東日本電信電話事件(人事考課)

東日本電信電話事件(東京地裁平成16年2月23日判決)
「人事評価は、基本的には使用者の総合的裁量判断が尊重されるべきであり、それが社会通念上著しく不合理である場合に限り、労働契約上与えられた評価権限を濫用したものとして無効になるとした。」


[事案の概要]
Xは、電気通信事業を営むY社に雇用され、平成11年7月から平成14年4月まで短時間制特別社員との身分で営業活動を担当していた。Xは平成14年4月末にY社を退職し、Y社の関連会社であるA社に採用された。平成15年3月末、Xは定年を迎え、A社を退職した。XはY社在職中の平成13年12月、年末特別手当の支給を受けたが、Y社の同手当の算定に当たっては各労働者の業績評価が反映されており、同手当の算定期間におけるXの評価は4段階のうち最低の「D評価(期待し要求する程度を下回る)」であった。また、XはA社を退職した際に退職金の支給を受けたが、A社からの退職金支給においては、月単位で成果要素等を累積させることとされていたところ、XがA社に在籍していた期間のうち、平成14年5月から平成15年1月までの9ヶ月間の成果要素については、Y社における平成13年度の総合評価が反映されることとされており、Xの平成13年度の総合評価は4段階のうち最低の「D評価(期待し要求する程度を下回る)」であった。Xは、自分には「C評価(期待し要求する程度であった)」との評価を受ける権利があり、Y社は査定義務に違反したとして、「C評価」を受けていれば得られていた場合との差額の支払等を求めて出訴した。


[判決の要旨]
使用者が賞与等を決定するために行う人事評価は、使用者が企業経営のための効率的な価値配分を目指して行うものであるから、基本的には使用者の総合的裁量的判断が尊重されるべきであり、それが社会通念上著しく不合理である場合に限り、労働契約上与えられた評価権限を濫用したものとして無効となるというべきである。<諸事情を考慮すれば、>Xに対する平成13年度下期業績評価及び同年度総合評価を「期待し要求する程度を下回った」とするD評価としたことが、社会通念上著しく不合理であるということはできない。