ミロク情報サービス事件(配置転換は無効)

ミロク情報サービス事件(京都地裁平成12年4月18日判決)
「労働者は病気に罹患しており、転勤先への通勤に耐えられるか疑問であった。また、そのことは他の従業員にも周知されていた。」


[事案の概要]
原告Xは、昭和59年8月から、コンピューター、同周辺機器等の販売、同賃貸、リース及び保守サービス等を行う被告会社Yに雇用されていたが、平成10年4月、京都支社から大阪支社への転勤を命じられた(以下、本件転勤命令)。Xは、平成6年の自宅待機(判決の中で、当該自宅待機命令は根拠のないものと認定されている。)中に、メニエール病(断続的に強度のめまい、耳鳴り、難聴等の聴覚症状や吐き気、嘔吐等の自律神経症状がみられる)を発症しており、通勤に1時間40分以上かかる大阪支社への転勤を拒否したことから、Yは、業務命令違反、無断欠勤を理由として、Xを解雇した。


[判決の要旨]
Xは、Yから法的根拠がないのに自宅待機命令を受け、その間にメニエール病に罹患したため、自宅待機命令が解除されて職場に復帰した後は、睡眠不足等によりめまい発作が起こらないよう注意しながら生活していたこと、Xはメニエール病に罹患していることを京都支社長はもちろん、京都支社の他の従業員にも知らせていたのであり、メニエール病のため仕事等に支障が生じるかも知れないことは周知されていたこと、Yは、Xにつき、他の従業員とは異なり、飛び込みによる会計事務所の新規開拓の仕事に専任させており、この仕事による売上はもともと僅かしか期待できないものであったこと〈Yは、Xの売上の低さを当該配転命令を発出した理由の一つとしていた〉、Xの供述によると、Xが自宅から大阪支社に通勤するには1時間40分以上を要するが、メニエール病のため、このような長時間の通勤に耐えられるかどうかは疑問であることなどを指摘することができ、これらの諸点を勘案すると、本件転勤命令は、Yの転勤命令権の濫用であって許されないというべきである。〈中略〉Xは、本件転勤命令に従わず、右命令後も京都支社に出勤し、大阪支社には出勤しなかったのであるが、右命令がYの転勤命令権の濫用であって許されないものである以上、Xが右命令に違反し無断欠勤したということはできないから、これを理由とする本件解雇も権利の濫用として無効になるというべきである。