退職後の競業避止義務に係わる判例一覧

フォセコ・ジャパン・リミティッド事件(昭和45年 奈良地裁判決)
「秘密保持義務を実質的に担保するために特約により退職後における一定期間競業避止義務を負わせることは適法・有効であって、制限期間が2年間であり在職中機密保持手当が支給されていたこと等の事情を総合すると、本件契約の競業制限は合理的な範囲を超えているとは言い難く、いまだ無効と言うことはできないとして、競業行為の差止請求を認めた。」


三晃社事件(昭和52年 最高裁第二小法廷判決)
「退職金が功労報償的な性格を併せ有することにかんがみれば、同業他社に就職した退職労働者に支給すべき退職金の額を一般の自己都合の場合の半額と定める退職金規定は、公序良俗に反しないとされた。」

チェスコム秘書センター事件(平成5年 東京地裁判決)
「原則的には労働契約終了後に労働者は競業避止義務を負担するものではないが、労働契約継続中に獲得した取引の相手方に関する知識を利用して、使用者が取引継続中の者に働きかけをして競業を行うことは許されず、債務不履行が成立するとされた。なお、退職後の競業避止に係る特約はなかった。」


西部商事事件(平成6年 福岡地裁小倉支部判決)
「退職後3年間、場所的に無制限の競業避止義務を課す旨の契約の解釈は、契約締結の目的、必要性からみて合理的な範囲に制限され、使用者の営業秘密を不正に利用したり使用者の営業に重大な影響を及ぼすというような背信性の強い場合に限定すべきとされ、退職して6ヵ月後の同業他社への就職は債務不履行に当たらず、退職金返還請求も認められないとされた。」


東京リーガルマインド事件(平成7年 東京地裁決定)
「競業避止義務を合意により創出する場合には、競業行為の禁止の内容が必要最小限度にとどまっており、かつ、労働者の受ける不利益に対する十分な代償措置をとっていることを要するものとされた。」


ジャクパコーポレーション事件(平成12年 大阪地裁判決)
「退職後の競業行為が不法行為となるのは、それが著しく社会的相当性を欠く手段、態様において行われた場合等に限られ、単に競合する新規事業を計画し、その遂行に必要な従業員を確保し取引先を募るなどしたことが当然に不法行為となるものではないとして、不法行為の成立が否定された。」

ダイオーズサービシーズ事件(平成14年 東京地裁判決)
「誓約書による、退職後の競業避止義務についての合意は、退職後の秘密保持義務の合理性を前提に、期間、区域、職種、使用者の利益の程度、労働者の不利益の程度、労働者への代償の有無等の諸般の事情を総合して合理的な制限の範囲にとどまっているときは、公序良俗に反せず無効とはいえないとされ、競業行為について債務不履行による損害賠償を認めた。」