労基法第9条の労働者に係わる判例一覧

大平製紙事件(昭和37年 最高裁第二小法廷判決)
「塗料製法の指導・研究に従事することを職務内容とするいわゆる嘱託であって、直接上司の指揮命令に服することなく、また遅刻、早退等によつて賃金が減額されることはない等一般従業員と異なる待遇を受けていても、毎日ほぼ一定の時間会社に勤務し、これに対し所定の賃金が支払われている場合には、労働法の適用を受ける労働者と認めるべきとした。」


河口宅地造成事件(昭和41年 最高裁第二小法廷判決)
「自己所有の工具類を使用していた石工と宅地造成業者との関係について、実質的に支配従属の関係にあり、労働基準法上の労働者と使用者の関係にあったとした。」


興栄社事件(平成7年 最高裁第一小法廷判決)
「合資会社の有限責任社員について、定款によって業務執行の権限は与えられておらず、代表者の指揮命令の下に労務を提供していたことにとどまり、支払われていた「給料」はその対償として支払われたものということができるため、従業員を対象とする退職金規定が適用されるとした。」


安田病院事件(平成10年 最高裁第三小法廷判決)
「病院の指揮命令及び監督の下に労務を提供していた付添婦について、病院がこれを受領していたことから、病院との間に実質的な使用従属関係が存在しており、また、労働契約を締結する意思が客観的に推認でき、結局両者の間には黙示の労働契約の成立が認められるとした。」


新宿労働基準監督署長(映画撮影技師)事件(平成14年 東京高裁判決)
「映画製作において撮影技師は監督の指示に従う義務があり、本件撮影技師も例外ではないこと、報酬が労務提供期間を基準に算定して支払われていること、個々の仕事についての諾否の自由が制約されていること、時間的・場所的拘束性が高いこと、労務提供の代替性がないこと、撮影機材はほとんどがプロダクションのものであること、プロダクションが本件撮影技師の報酬を労災保険料の算定基礎としていること等を総合して考えれば、本件撮影技師は労働基準法第9条にいう「労働者」に当たるとした。」